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『メルカリNFT』に、“現物付き”NFTが登場? 安全にトレーディングカードを取引できるRWAの可能性

2025-7-23

『メルカリNFT』に、“現物付き”NFTが登場? 安全にトレーディングカードを取引できるRWAの可能性

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2025年4月15日『メルカリNFT』にて「TCG STORE」の販売するトレーディングカードの「RWA(Real World Assets)」を取引できるようになりました。

RWAは、トレーディングカードなどの交換権や所有権をNFTとして売買できる新しいコンセプトの商品です。これにより、お客さまは安心してトレーディングカードを取引できるだけでなく、“現物付き”NFTという新たな所有体験が得られます。

今回は、このRWAプロジェクトを推進した『メルカリNFT』の事業開発・渉外担当である永井幸輔(@nagai)と、プロダクトマネージャー(PM)の櫻木淳之介(@jnsk)にインタビュー。プロジェクト立ち上げの経緯から、RWAの魅力、開発における挑戦、そして今後の展望を聞きました。

この記事に登場する人

  • 永井 幸輔 (Kosuke Nagai)

    『メルカリNFT』の事業開発・渉外担当。2010年より弁護士として、美術・ファッション・出版などの文化芸術とインターネットの交錯する領域で法務アドバイスを提供。2018年から暗号資産の事業企画に従事。2021年にメルカリに入社し、NFT関連事業開発に携わる。2022年2月より一般社団法人JCBIの著作権流通部会の副部会長に従事。   

  • 櫻木 淳之介(Junnosuke Sakuragi)

    2025年3月に北海道大学大学院修了。大学院ではAIを用いた医用画像解析の研究に取り組む一方で、ジュエリー制作会社を共同創業し、ブランドの立ち上げやプロダクトの企画・開発にも携わる。その後、新卒でメルカリへ入社。入社1年目にして、『メルカリNFT』のプロダクトマネージャーを務める。

お客さまにより使ってもらえるNFTを考え、RWAに挑戦

── 今回の RWAローンチにあたって、お二人はそれぞれどのような経緯で、どういった立場でプロジェクトに関わったのでしょうか?

@nagai:2025年1月に『メルカリNFT』の第1弾をリリースした後、よりお客さまに手に取ってもらえるNFTとは何かをチームで考えていました。その中でRWAをやろうという話になって。

ちょうど同じ時期に「TCG STORE」(CryptoGames社が運営)がトレーディングカードのRWA関連のサービスをリリースしたことを聞き、同社のRWAを『メルカリNFT』でも取り扱えそうということで、2025年2月中旬頃に急遽プロジェクトが立ち上がりました。私は事業開発メンバーとして、先方とのディールやリスク面の整理など、事業サイドの整備を担当しました。

@jnsk:私は新卒1年目ですが、1年ほど前からインターンとして『メルカリNFT』の立ち上げに関わっていました。その頃から社内でRWAの構想はありましたが、ハードルが高く検討段階で。今回RWAを本格的に進めることになり、『メルカリNFT』に所属していた私がPMとしてアサインされたんです。プロジェクトの責任を持つ立場ですが、今回は特にBiz側との連携が重要になるため、Biz寄りのPMとして関わっています。   

──新卒1年目でこの重要なプロジェクトのPMを任された背景には、どのような経験があったのでしょうか?

@jnsk:大学院時代に起業し、エンジニアリングからビジネス、プロダクトマネジメントまで一通り経験しました。その中でプロダクトマネージャーとしての適性を感じ、メルカリにインターンとして入社後、PMの経験を積みました。とはいえ、当時はインターン生だったこともあり経験はまだ浅く、今回のアサインは私にとって大きなチャレンジで、試行錯誤しながらプロジェクトに向き合っていましたね。

── 渉外や法的な側面は、弁護士資格を持つ@nagaiが主に担当されたんですよね?

@nagai:そうですね。PMの担当範囲以外の、Biz関連は基本的に私が対応しました。他社がまだほとんど手掛けていない新しいサービスで、これまでのNFTとは異なり他人の所有物を預かるという側面があるため、安心・安全な取引の実現や法的な立て付けなど、一つひとつ課題を整理していくことに。

加えて価格面の課題もあり、お客さまになるべくリーズナブルな価格で提供できるよう設計する必要もありました。タイトなスケジュールでしたが、社内のリーガル、コンプライアンス、リスクチームなどの方々にも協力してもらい、直前まで調整してローンチへと漕ぎ着けました。

所有カードを高解像度で確認でき、売買が1秒で完了する安心のRWA

── 改めてRWAとはどんなものか、教えてもらえますか?

@jnsk:RWAはReal World Assetsの略で、現物が紐づいているNFTです。具体的には、トレーディングカードが現物として存在し、そのカードとNFTが紐づいており、NFTを売買することで、そのトレーディングカードの「交換権」や「所有権」を売買できることが特徴です。   

@nagai:以前も『メルカリNFT』では、第三者が発行したRWA(トレーディングカードをNFT化して販売するサービス「Courtyard」発行のものなど)を販売したことはありましたが、国内向けに本格的かつ大規模に提供するのは今回が初めてです 。   

──リアルカードの売買とは違う RWAの魅力、面白さはどんな点にあるんでしょうか?

@nagai:RWAは現物とは異なる付加価値があります。例えば、カードの状態を1600×1600ピクセルの高解像度の画像で、しかもスマホでいつでも確認できるため「自分の所有物が常に手元にある」、つまり“持っている”感覚を得ることができます。また、1秒で買ったり売ったりできる手軽さも、ぜひ実際に試してみていただきたいですね。想像以上に新鮮な体験だと思います。

▲実際に『メルカリ』内で確認できるカードの様子

@jnsk:プロジェクトの中で、実際にお客さまを呼んでインタビューするUXリサーチを重ねたのですが、トレーディングカード購入者が重視する点として「高解像度で画像を見たい」というニーズが非常に高かったんです。このことから、RWAでは解像度の高い画像でカードの隅々まで見せることを重視しました。

──RWAに馴染みのない方へ、その使い方や『メルカリNFT』で購入するメリットを教えていただけますか?

@jnsk:一つは「とりあえず買ってみる」という手軽な売買体験が魅力です。デジタルで保有する場合は配送手続きなど現物取引のような手間がなく、もし不要になればすぐに売却できます(販売手数料10%のみ発生)。NFTの裏に現物があるという新しい感覚、交換権を売買する面白さを体験してほしいですね。   

@nagai:現物とデジタルの両面でメリットがあります。現物としては、自分で保管する必要がなく、専門業者によって安全な環境で管理され、必要な時に取り寄せられること。デジタルとしては、高解像度の画像を、いつでもどこでもデジタルデバイスで見られるというメリットがありますね。

難題はリスク管理、コンセプト決定

── 約2ヶ月という短期間でのサービスローンチということでしたが、特に大変だったことは何でしょうか?

@nagai:私の場合一番大変だったのは「お客さまの持ち物を保管する」ことのリスク管理でした。これまでメルカリ行われてきた取引にはなかったケースで、保管されているものをお客さまに確実に届けられるかが課題でした。ですが、今回「TCG STORE」を運営するCryptoGames社さんに、安心・安全な取引のための工夫をしていただいています。

@jnsk:PSA鑑定済みの商品を専門業者が保管しているため、偽物を買うリスクがなく、安心して取引できます。お客さまだけでなく事業者側も含めて、みんなが安心して取引できるサービスであることを重視しました。      

大変だったことでいえば、「NFTを購入したお客さまにどう喜んでいただけるか」など、コンセプトを決める段階でしょうか。RWAは購入してもすぐに現物が届くわけではなく、アプリの「持ち物」欄で閲覧する形になります。これが従来のトレカファンの方々にどう受け入れられるか懸念していました。

その後、UXリサーチを重ね「高解像度画像」がコアな価値であると突き止めましたが、そこに至るまで、持ち物リストの表示方法(バインダー形式や祭壇形式など)やカードの見せ方(回転させるなど)も含め、様々な可能性を検討しました。限られた時間の中で、最初にリリースする機能として「全員に刺さるコアな部分」を見極めるのが難しかったですね。   

RWAならではの価値、デジタルで買うメリットの伝え方が今後の焦点に

── ローンチ後の反応や、今後の改善点についてはいかがでしょうか?

@nagai:『メルカリNFT』で取り扱っている他のNFTと比べても、多くのお客さまに取引していただいています。でも、もっと多くの方に手にとってほしいという思いはありますね。こうしたRWAならではの価値、デジタルで買うメリットをどう伝えていくかという点は、今後も意識的に伝えていきたいと思っています。  

@jnsk:現在、私はすでにプロダクトの改善を進めています。商品詳細の文言をよりシンプルにしたり、商品一覧画面での見やすさを向上させたり(特にスマホでの視認性、グレード表示など)しています。

── 今後のRWAの展望についてお聞かせください。

@jnsk:まずは商品点数の拡大ですね。ワンピースや遊戯王カードなども検討しており、お客さまが欲しいものに出会える確率を高めたいです。そして、RWAが持つ「デジタルで権利を売買する」「デジタルで所有物を楽しむ」といった、まだ少し不明瞭な面白さの解像度を高め、プロダクトに落とし込み、新しい概念としてお客さまに届けていきたいですね。

@nagai:将来的には、デジタル上で所有物を他者と見せ合ったり、購入オファーを受けたりするなど、フィジカルではできなかった新しい商品との付き合い方が生まれる可能性を秘めていると考えています。  

また、個人的には開封するまで中身が分からない、ランダム性のある商品なども取り扱っていきたいですね。また、プラットフォームとして、多くの事業者様にRWAストアに参加していただき、商品を販売できる環境を整えたいと考えています。海外のお客さまからのニーズも高いと認識しており、グローバル展開も視野に入れながら、今後も拡充に力を入れていきます。

写真:タケシタ トモヒロ 文:中森りほ

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