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メルカリPRが、施策の前に“Why”を問い続ける理由——私がここで働く理由(緒方 祥子)

2025-8-19

メルカリPRが、施策の前に“Why”を問い続ける理由——私がここで働く理由(緒方 祥子)

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メルカリメンバー一人ひとりのユニークな経歴や入社の決め手、そしてメルカリという場所で何を成し遂げたいのか、というパーソナルなストーリーに焦点を当て、本人の言葉で綴る「私がここで働く理由」。今回登場するのはJapan Business PRチームの緒方 祥子です。

ファーストキャリアでの営業経験を経て、HR系スタートアップの広報として活躍し、一転パリへ。「スタートアップのスピード感も、事業をドライブする感覚も大好きだった」と語る彼女が、メルカリのPRを選んだ理由とは?規模もフェーズも違う環境で得た気づきと、事業を動かすPRの本質について掘り下げます。

この記事に登場する人

  • 緒方 祥子(Shoko Ogata)

    2013年に新卒でリクルート住まいカンパニー(現・リクルート)に入社。不動産メディアのソリューション営業を経て、2018年グーグルに転職。広告営業や電子書籍・ニュースのパートナーシップ業務に携わる。2020年よりHR系スタートアップに一人目広報として未経験で入社。その後、家族都合で2年間フランス・パリに帯同し、フリーランス広報として日本のスタートアップを中心に支援。2024年10月より、メルカリに入社。

営業からスタートアップ、そして事業広報へ

2024年の10月からメルカリのPRチームに加わった緒方祥子です。会社では、中学時代から慣れ親しんだニックネームの「@ogasho」と呼ばれています。

チームのなかでは、Japan BusinessPRチームに在籍しており、いわゆる事業広報として、多岐に広がりつつあるメルカリを、事業・サービスの側面からより広く深くご理解いただくファンを社外に増やすことで、事業成長に貢献することが主たる役割です。

とはいえ、私自身の広報キャリアはまだ日が浅く、PR歴の長い他メンバーと比べると異色に映るかもしれません。新卒は営業としてキャリアをスタートし、国内メガベンチャーや外資大手で、不動産やECなどさまざまな業界のクライアントと向き合ってきました。そして30歳の節目を迎えるにあたり、当時正社員10人程度だったHR系スタートアップの一人目の広報として未経験で転職。曖昧なアイデアの段階から、コミュニケーションを通じて会社や事業の未来を共に創っていき、企業価値に変えていく動きが求められる広報というポジションは、それまでの営業経験や自分の得意を活かしながら、より経営視点を養うことができると考えたからです。

スタートアップでは、会社の成長のためなら何でもやるという気持ちでいたので、人事・インナーコミュニケーションやカスタマーサポートなど、広報以外の役割にも染み出していました。それこそ、今回のメルカリでの選考に伴走してくれたHRの北原さんとの最初の出会いも実は、過去「顧客と臨時カスタマーサクセス担当」として参加した打ち合わせがきっかけでした(笑)。当時はまだ社内に営業経験者が多くなかったこともあり、取材対応やプレスリリース作成の傍らで、営業同席やロールプレイングをやっていた時期もあります。

このときに経験した日々のスピードや、事業を自らドライブしている感覚は、数万人規模の会社にいた時には感じられなかったスタートアップらしい醍醐味であり、2年半ほどの在籍期間で得た経験は成功や失敗、悔しさや嬉しさひっくるめて、自分の礎になっているのを感じています。

パリへ転居した2年間。生活の中で見えてきた目標

スタートアップでの経験とともに、“メルカリに入社する”という意思決定につながった転機として、「フランス・パリでの2年間の生活」があります。

2022年9月から入社前月の2024年9月までの約2年間、夫の仕事の都合でパリに引っ越し、私は帯同家族という立場で長期の海外生活を初めて経験しました。渡航後しばらくしてからは、自身の大学院進学も重なり、帰国期限が決まっている今しかできない働き方・暮らしをしたいと考え、フリーランスに転身。主に日本のスタートアップの広報・採用広報支援をフルリモートで行っていました。

パリでの暮らしが自分に与えた影響はあげればキリがないのですが、「日本の現在のプレゼンスと、未来にあってほしい姿」を考える機会になったことは、キャリアを再考する上で、とても意味がありました。

フランスは欧米の中でも特に、マンガ・アニメといった日本文化が浸透していて、日本人と言うだけで「TOYOTA!SONY!PIKACHU!SUSHI!」など、こちらが驚くほどの返しをしてくれ、そして日本や日本の文化を、たくさんの方が好きでいてくれることを感じる毎日でした。(優しさにかまけて、フランス語はほぼ喋れないまま帰国したのが心残りですが。笑)

パリの夕焼け

一方で、フランスはヨーロッパの中でもスタートアップが急速に存在感を増している国でもあります。フランス政府は成長戦略の柱としてスタートアップを推進しており、直近10年間でフランス国内のユニコーン企業は30社を超える勢い。スタートアップでの活躍の場を求め、世界中から優秀な人材が集まる国になっています。フランスをロールモデルとした日本の施策も多くあり、帰国直前に開催されたヨーロッパ最大級のテックカンファレンス「VIVE TECHNOLOGY(通称Viva Tech)」には、Japanブースも設置されるなど、多くの日本企業やスタートアップがパリに集まっていました。

現地でそんなタイミングに偶然居合わせた私は、世界各国から集まる様々なテクノロジー企業を見て、「世界における日本のプレゼンスをもっと高めたい」という気持ちが沸々と湧いてきました。

もちろん、今の日本ブランドや日本というだけで愛される認識があるのは、先人たちが築いてきた実績であり、ものづくりの技術やコンテンツは今後も世界で戦える強みであることに間違いありません。ですが、他国が新産業の創出でプレゼンスを高めるなか、日本のプレゼンスを上げるためには、アメリカにとっての「Google」、中国にとっての「アリババ」、スウェーデンにとっての「Spotify」のような”これからの日本を背負い、グローバルで愛され利用される企業・サービスの台頭”が不可欠だと改めて感じました。

「日本を代表するリーディングテックカンパニー」への関心やキャリア指針としての重要度が増すにつれ、同時に、未上場スタートアップでの”ひとり広報”の経験しかない自身の広報経験の狭さへの焦りも感じるようになりました。

スタートアップは大好きだけど、もう少し規模やフェーズが異なる環境で挑戦できたら、得られる経験値や将来的に自分が還元できる価値の総量も大きくできるのではないか、と。

挑戦的な取り組みを見て、メルカリへの転職を決意

メルカリのPRは、そうした観点でずっと興味を持っていた企業であり、ポジションでした。

これまでの軌跡として「日本初のユニコーン企業」として日本のスタートアップ市場をけん引してきた存在でありながら、例えばこの一年で「メルカリ ハロ」など祖業とは一見すると全く異なる事業にも大きく挑んでいる姿を見て、外の立場からも「まだまだ“スタートアップ”の気持ちを忘れずに挑戦を続けるんだな」と感じていました。

事業本体だけでなく、サーキュラーエコノミー・I&Dといった組織の面でも、先進的な取り組みを推進しているカルチャーがあり、また私自身も過去にメルカリを参考にしながら施策や制度を考えたこともあり、バリューへも強く共感していました。また、サービス初期から『メルカリ』を愛用していたこともあり、シンプルに親近感を持っていたことも大きいですね。

メルカリの募集を知ったのは、Xでたまたま見かけた投稿がきっかけです。今、同僚でもあるPRチームの韓さんが求人をシェアしており、以前仕事で韓さんとご一緒する機会があったつながりで「ちょっとこの求人の詳細、教えてほしいです!」とDMしたところから始まりました。

選考プロセスで印象的だったのは、事業課題に対するPRアイデアをプレゼンして行ったチームメンバーとのディスカッション。質問や投げかけを通じて、思考の解像度を高められ、アイデアが洗練されていく感覚があり、ひとりではなくチームでPRに取り組むという今までにはなかった新鮮さがありました。また「Back to Startup」をテーマに掲げる現在の会社方針や、進太郎さん(山田進太郎:代表取締役 CEO(社長))のインタビューが当時立て続けに公開されたことも、個人的にはポジティブな印象でした。スタートアップらしいスピードやカルチャーを体現できることを、特に求めてくれる時期だろうなと思えたからです。

並行してお話ししていた企業も事業・組織ともに、とても魅力的ではあったのですが、「フェーズ・規模のちがいによる経験値の広がりへの期待」「この規模で“スタートアップ”し続けようとする姿勢」「同じ専門性を高めあい、深めあえるチームの存在」が後押しとなって、最終的に入社を決めました。

「なぜ今、なぜメルカリが?」を問い続ける。事業を動かす本質とは

入社後から今までを振り返り、特に印象的だった2つのプロジェクトがありました。1つは、年末に実施した「お金で払えない中華飯店」。そしてもう1つが、私自身がメインで担当した「エリアグロース戦略」です。

細部へのこだわりに圧倒された、大規模オフラインイベント

昨年末に関わった「お金で払えない中華飯店」は、新宿に期間限定の中華料理屋をオープン。そこで『メルカリ ハロ』のスキマバイトを体験してもらうというオフラインのPRイベントです。

スタートアップに在籍していた頃には、予算やリソースの観点から実現が難しかったであろうこの企画。『メルカリ ハロ』が事業開始1年目にして、PRにもきちんと投資を受けられる事業への意気込みと、その企画のスケール感に、私はまず圧倒されました。

これまでは社外から完成した企画を見ていただけでしたが、実際に社内で企画に入って驚いたのは、その徹底した「メディアバリューづくり」へのこだわりです。どうすれば、サービスのプロモーションではなく、社会性のある話題・トピックとして、メディアやその先にいるお客さまが関心を持ってくださるか、その一点を驚くほど深く長く議論していました。

例えば、「スキマ時間が価値に変わる」というメッセージをどう表現するか。わずかな時間でもスキマバイトができること、そしてその時間が価値に変わることを伝えるために、開催ギリギリまで話し合いを重ね、「スキマタイムカード」と「スキマ時間引換券」を作成することを決めました。ただ面白い企画をつくるだけでなく、どうすればサービスや体験のコアバリューをメディアが分かりやすく、かつ新規性・社会性のある情報として伝えてくれるかを考え抜き、体験者の動きやUXまで設計する。その細部までこだわり抜くプロジェクトメンバーの執念は、前職時代にはなかった視点であり、非常に感銘を受けました。

また、多くの外部パートナーを巻き込み、一つのチームとしてプロジェクトを推進していく経験も初めてでした。自分たちのコアを明確に持ちつつ、社内外の専門性をどう組み合わせれば「1+1」を「2以上」にできるのか。規模の大きな仕事だからこそ得られる、貴重な学びの連続でした。

左下がタイムカード

「面白い」で終わらせない。PRの土台となる「Why」の追求

このプロジェクトで私が最も重要だと感じたのは、アクションを起こす前に、上流戦略を徹底的に議論する姿勢です。

私たちは企画初日にメディア向け発表会を実施し、「なぜ“今”、なぜ“メルカリが”この企画を行うのか」を丁寧にレクチャーしました。どんなに目立つ企画でも、その背景にある「Why」がなければ、ただの話題作りで終わってしまい、私たちが本当に伝えたいメッセージは届きません。ついアクションの議論に走りたくなりますが、そこをぐっとこらえて本質を問い続ける。この姿勢こそが、メルカリPRの強みなのだと実感しました。

初めてのプロジェクトオーナーで直面した壁と、確かな手応え

次に取り組んだ「エリアグロース戦略」は、私が初めてプロジェクトオーナーに近い立場で担当した施策です。首都圏以外にも『メルカリ ハロ』を広めるため、特定のエリアでの認知拡大に注力するというミッションでした。

しかし、当初どうしてもアクション起点の思考に偏ったり、事業戦略の中でのPRの役割を捉えきれずに、チーム内で何度も企画の手戻りが発生し、すぐに行動を起こしたい性分の自分としては、正直かなり苦しい時期でした。

この壁を乗り越えるきっかけになったのも、やはり「Why」への回帰でした。チームで議論を重ね、「なぜ今、なぜ『メルカリ ハロ』がやるのか」という原点に立ち返ったのです。

その結果、私たちは大規模なイベント開催ではなく、地域のメディア一社一社に直接提案するアプローチへと切り替えました。「Why」を明確に伝える資料を用意したところ、メディアの皆さんの反応は驚くほど良く、確かな手応えを感じました。

この経験を通じ、アクションの前に戦略の土台を固めることの重要性を、今度は自分自身の成功体験として身をもって学ぶことができました。

これからのメルカリでの挑戦と、未来の仲間へ

メルカリでの経験を通じて、特にお客さまの「生の声」に触れる機会が増えるほど、私たちの活動はより良いものになっていると実感しています。良いPRは、お客さまの悩みや喜びを直接聞くことなしに実現しません。これからもその声を起点に、事業に貢献できるような企画を考えるクリエイティブなチームであり続けたいと思っています。

今、メルカリは「社名だけでニュースになる」というフェーズは過ぎたと思っています。だからこそ、私たちの仕事はこれまで以上に「なぜ今、なぜメルカリが」という戦略的な視点が不可欠になります。

そして、メルカリは変化が非常に激しい会社です。その変化に対応する柔軟性と、周囲に流されず「これを絶対にやる」という強い意志、いわば「自己確信」の両方が求められます。イエスマンでも、自分のやり方に固執するだけでも、ここでは価値を発揮できません。大企業とスタートアップ、両方の側面を持つこの場所で、変化を楽しみながらも、自分の核となる信念を持って事業の本質に向き合いたい。

同じように熱意を持ったメンバーと、未来のチームメイトとして一緒に働けることを、心から楽しみにしています。

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