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不正対策と利便性を両立する。マイナンバーカードを活用したセルフ解除の取り組み

2026-3-2

不正対策と利便性を両立する。マイナンバーカードを活用したセルフ解除の取り組み

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メルペイでは、不正対策の一環として不正検知システムを導入し、日々増加・巧妙化する不正利用からお客さまを守っています。しかし、検知システムの精度は100%ではないため、本人のご利用であっても誤検知により利用制限がかかってしまうケースがありました。

従来は、こうした利用制限を解除するにはお客さまご自身でフォームからお問い合わせいただく必要があり、解除までのあいだ、メルペイをご利用いただけない状況が課題となっていました。

この課題を解決するため、2025年11月より段階的に提供を開始し、12月に100%提供を完了したのが「マイナンバーカードによるセルフ利用制限解除」機能。デジタル庁が発行するデジタル認証アプリを活用し、お客さまご自身で安全かつ迅速に利用制限を解除できる仕組みを実現しました。

本記事では、この機能のProduct Managerの@ebiと、不正防止のスペシャリストである@negiの対談を通じて、開発の背景から技術的な工夫、国際協業のエピソードまで、徹底的な排除と救済を両立する取り組みの全貌をお伝えします。

この記事に登場する人

  • 衣斐 崇展(@ebi)

    2016年に三井住友カードに入社。不正対策領域や、アプリ開発に従事。2022年にメルペイに入社し、不正検知ルール作成に従事。直近では、プロダクトマネージャーとして、高額商品の出品・購入時におけるeKYC必須化を担当。日本とインドのエンジニアチームを巻き込みながら、安心・安全なマーケットプレイスの実現に取り組む。

  • 禰冝田 健(@negi)

    2010年、三井住友カードに入社。不正検知ルールの策定や分析といった専門領域から、大規模開発案件のPM、さらにはソリューション営業まで、決済領域の「守り」と「攻め」を多角的にリード。2023年に独立し、新規事業の立ち上げを経験した後、2025年、さらなる安心・安全なマーケットプレイスの構築を目指してメルカリに参画。現在はAnti-Fraud Specialistとして、メルカリ・メルペイの不正対策を牽引しつつ、その知見を活かした安心・安全に関する新サービスの立案・開発推進に注力している。

増加・巧妙化する不正利用と、不正対策への挑戦

— まず、メルペイを取り巻く不正利用の現状について教えていただけますか?

@negi: フィッシングメール等によりお客さまのアカウント情報が第三者に詐取される事案が年々増加し、巧妙化しています。メルカリアカウントが乗っ取られると、ペイメントサービス(メルカード、コード決済、ネット決済など)が第三者に利用されるため、メルペイとしても不正対策を強化しています。

お客さまが多数ご利用いただいている一方で、キャッシュレス決済の普及に伴い、アカウントを狙った不正行為は社会全体で増加傾向にあります。ルール担当チームがAIや不正犯の識別情報を駆使して網目を細かくしていますが、完全に白黒を分けるのは難しく、正常なご利用であっても一時的に利用制限がかかるケースがあります。従来はCSチームが1件ずつ確認して解除していましたが、解除まで時間がかかり、お客さまが一時的にメルペイをご利用いただけないという課題がありました。

@ebi: もちろん、誤検知をしないことがベストではあるのですが、もし制限がかかってしまった場合でも、ご自身で利用制限を解除できるということがお客さまのペインポイントを解消するのではないかと考えました。強力な本人確認手段であるマイナンバーカードの保有率が8割程度に達していることも、この機能を後押しする要因となりました。

ステップとしては、「本人のご利用かどうか」をまずご確認いただいた上で、その後デジタル庁が発行しているデジタル認証アプリでマイナンバーカードで本人確認をする、という2ステップで解除いただいております。
※本機能ではマイナンバー(12桁の個人番号)そのものを取得・保存することはありません。電子証明書を用いた本人確認のみを実施しています。

マイナンバーカードで実現する、より迅速なセルフ利用制限解除

— マイナンバーカードを使用した本人確認は、業界としてもかなり革新的な取り組みですよね。

@ebi: 今回の取り組みでは、「マイナンバーカードの現物を持っていること」と「マイナンバー専用のパスワード(署名用電子証明書用暗証番号)を知っていること」の2段構えで本人確認の強度をかなり上げているのがポイントです。そのため、偽造・悪用されないような盤石な仕組みを構築しています。

@negi: デジタル庁が提供している「デジタル認証アプリ」を用いてかなり厳密に本人確認ができるため、SMS認証といった従来の方法よりも、より安心・安全な体験を提供できるようになったという実感があります。

— マイナンバーを利用した本人確認システムとの連携で、苦労されたポイントを教えていただけますか?

@ebi: 特に苦労したのは、国をまたいだ開発体制の構築でした。今回の取り組みでは、日本のエンジニアだけでなく、インドの開発拠点のエンジニアとも協業を行いました。

インドメンバーには、デジタル庁が提供するアプリとメルカリアプリの接続を担当してもらっていましたが、インド国籍のため日本のマイナンバーカードの現物を持っておらず…。実際に試すことができないので、エラーの特定・解消に時間がかかることも。

@negi: どう進めていこうかと悩んでいたのですが、社内にメルカリのマーケットプレイス側でマイナンバーカードを使った提供を実装したことがあるチームがいたんです。そのチームと協業し、コードを一つひとつ見て紐解きながらエラーを特定・解消することを繰り返し、一歩一歩進めていきました。

最終的には、インドメンバーが来日するタイミングで、実物のマイナンバーカードを使ってのテストがありました。関係者全員がオフィスに集まり、そこでようやく実現に至りました。実際に顔を合わせて”チーム”を体感できたことで、みんなで喜びを分かちあうことができました。

@ebi: インドメンバーの来日とは別に、私自身がインドを訪れる機会があり、現地で直接対話を重ねました。そこで、プロジェクトの背景やパッション、目指す方向性を共有できたことが、結果として機能改善にもつながったと感じています。

— 他のチームとの協業として、UI/UX面でも何か工夫されたことはありますか?

@ebi: 利用制限解除までのステップをわかりやすく提示した点です。本人の利用であることの確認から、マイナンバーカードでの本人確認という必要なステップを、ファーストビューで最初に提示することで、お客さまが迷わない工夫をしました。

デザイナーの方とどうしたらいいか、という点を毎日一つひとつ議論を重ねていくうえで、最終的に関係者みんなが合意できるようなお客さま体験をつくることができました。
関係者同士で「安心・安全なメルカリを作るんだ」と同じ方向を向いて進められたことが大きかったとも思います。

— このプロジェクトを通して、お二人の目線で、チームとしてどんなバリューを発揮できたと思いますか?

@ebi: 結論、全てのバリューを発揮できたプロジェクトだと感じています。「Go Bold」な目標設定で各メンバーが「Be a Pro」に動きつつ、拠点が離れていても同じ目標に向けて「All for One」に走り続ける。そして最終的に素早い機能提供で「Move Fast」も体現できました。お客さまに1分1秒でも早くその機能を提供することで、その後のメルカリを安心・安全に使っていただけるようになる。なので、早期リリースはかなり大きな目標としてありましたし、実現できて嬉しく思います。

@negi: 具体的には、案件化からリリースまで半年で実現でき、プロジェクトに関わった全員が「Move Fast」を体現していた実感があります。慎重な検証を重ねながらも、半年で提供を実現できたことで、お客さまにより早く新しい機能をお届けできたことがよかったです。

また、「Go Bold」という点でも、セルフ利用制限解除自体はどのクレジットカード会社でも導入していますが、マイナンバーカードをかざして解除するという体験はこれまでにない仕組みです。その分乗り越えるべき壁も多かったのですが、世の中に対して新しいサービスを出していくという大胆な取り組みにチャレンジできたと感じています。

数分で解除可能に。先駆的な取り組みがもたらした成果と未来

— マイナンバーカードによるセルフ利用制限解除の導入により、お客さま体験はどう変わりましたか?

@negi: マイナンバーカードがお手元にあれば、利用制限がかかってもお客さまご自身で速やかにメルペイのご利用を再開できる。それが、導入前後の大きな違いになります。早い方だとものの数分以内に利用制限解除を実施いただけているので、とても価値のある結果だと思います。

@ebi: 2025年11月より段階的に提供開始、同年12月に100%提供完了し、すでに多くのお客さまにこの機能をご利用いただいています。リリース直後からお客さまに活用いただけていることで、早期から手応えを感じることができました。

— 今後の展望を教えていただけますか?

@ebi: 今回は、デジタル庁が発行しているアプリという、かなり厳格に本人確認をしているサービスを使っての機能提供になるので、メルカリの安心・安全のステージがより一段上がり、先駆的な機能をお届けできた手応えがあります。

今後のアップデートという点では、例えば他の手段でも利用制限を解除できる仕組みづくりなど、より「徹底的な救済」に向けて模索していくこと。また、より高度に不正検知できるような施策についても、多くのチームで日々考えている ので、より安心・安全に、そして便利にメルカリを活用いただけるように精進していきたいです。

私の好きなアニメに出てくるセリフに、「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在しない。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。」という言葉があります。これからも、お客さまの安心・安全を守るプロフェッショナル集団として、不正には先手で対策を講じながら、より便利にメルカリ・メルペイをご利用いただける環境をつくり続けていきます。

@negi: 今回の「マイナンバーカードによる利用制限解除の仕組み」は特許申請を行い、受理されました。ですが、この仕組みは、私たちが目指す「安心・安全のカタチ」における一つのマイルストーンに過ぎません。

ebiさんに倣って、私も好きな漫画から引用しますが(笑)。「一歩、その一歩によってのみ、道は切り拓かれる」という言葉があります。

つまり不正対策に「これで完璧」という終わりはなく、私たちが歩みを止めた瞬間に守りは崩れてしまいます。だからこそ、現状に満足することなく、その一歩を積み重ねることで、誰もが心から安心してメルカリ・メルペイを楽しめる未来を作り上げていきたいです。お客さまを守り続ける挑戦を、これからも続けていきます。

写真:タケシタ トモヒロ

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