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#0 メルカリ「AI Agent Day」始動——自律型AIで全社員の働き方を変える

2026-5-22

#0 メルカリ「AI Agent Day」始動——自律型AIで全社員の働き方を変える

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こんにちは!メルカン編集部です。

メルカリでは2026年5月から、エンジニア以外のメンバー約1,000名全員を対象にした全社プログラム「AI Agent Day」が始まりました。全6バッチ、準備期間・定着フェーズ含めて延べ4ヶ月(バッチは一部並走)をかけて全対象者が順次参加します。

プログラムは約1ヶ月間。事前準備の2週間でAIツールに触れ、当日は「Notion AI」や「Claude Cowork」を使ってAIエージェントの「スキル」を自分の手でつくり上げ、事後の2週間で業務への定着を図ります。1日限りのイベントではなく、行動変容を前提に設計されているのが特徴です。

本連載「AI Agent Dayから紐解く10の問い」では、企画の全体像から各バッチの振り返りまで、全6本の記事でその実態を紐解いていきます。
連載に先駆けて、「そもそもAI Agent Dayとはどんな取り組みなのか」の概要の紹介とともに、企画を推進する3人に最初の2つの問いを投げかけました。

*この記事は、取材内容のメモ・文字起こしをもとにAIツールを活用して構成、執筆を行っています

この記事に登場する人

  • 塗木 冴(@sae)

    メルカリAIエージェント開発&推進。2018年に東京工業大学情報理工学院を修了後、AIとiOSアプリ開発を中心としたプロダクト開発に従事。カナダ・トロントに留学しData Analyticsを学ぶ。東京を拠点とする国際ハッカソンコミュニティ「MeltingHack」を創設し、国内外を問わず多様な背景を持つ人々が学び合い・共創する場づくりを実践。そこで培った「テクノロジーへの心理的障壁を取り除き、熱量を引き出す設計」のノウハウを、社内のAI浸透施策にも還元している。

  • 小泉 剛(@ISSA)

    メルカリAIエージェント開発 & 推進リード。ソフトウェアエンジニアとしてキャリアを開始。プロダクトエンジニアおよびプロダクトマネージャーとして、ナレッジマネジメント、経費精算、工数管理、HR系システムなど、数多くの法人向け業務システムの開発・成長に携わる。2020年に株式会社メルカリへ参画。プロダクトマネジメントおよびコーポレートIT領域での組織マネジメントを経て、2025年7月より現職。現在はAI基盤の構築からソリューション開発までを現場でリードし、AIエージェントを通じた組織とプロダクトの変革を推進している。

  • Shu Kojima(@shuuk)

    AI Taskforce Engineering Manager。AIコンサルを経て、メルカリグループでData Analyst、機械学習エンジニアを経験。AI Agent DayではPjMとして参加。

概要:AI Agent Dayとは

AI Agent Dayは、メルカリが「世界有数のAI-Nativeカンパニー」を目指す中で始めた全社プログラムです。執行役や執行役員を含むエンジニア以外の全メンバー約1,000名を対象に、「AIエージェントで、自分の業務体験を変えよう」をテーマとして掲げています。

プログラムの特徴は、1日限りのイベントではなく約1ヶ月の「行動変容プロセス」として設計されていることです。事前の2週間で、当日使用するAIツールに触れながら学習を完了させます。

当日は午前に「Notion AI」でAIスキルの概念を体感。午後はデスクトップ上の安全な作業環境「Claude Cowork」で、自分の業務に直結するスキルを実際に手を動かしてつくり上げます。プログラム後は部門横断で編成された7〜10名の「ピアラーニングサークル」で互いに学び合いながら定着を図ります。

参加者の定着プロセスを支えるのは、バッチごとに約20名配置される「AIチャンピオン」。技術のプロではなく「気軽に相談できる人」を重視して選ばれたメンバーが、各ピアラーニングサークル単位で事前から事後まで伴走する仕組みです。

問い1:なぜ職種問わず「全社員対象」なのか

—— 今回のAI Agent Dayは、エンジニア以外のメンバー「全員」が対象です。職種を限定せず、全員巻き込み型の取り組みにした理由を改めて教えてください。

@ISSA: そもそも、最初から全員参加前提で設計されていました。

職種・部門問わず全メンバーが使って成果・生産性が上がる「武器」を配るのは、至極当然のことだと思ったからです。去年はChatGPTやGeminiなど、チャット型のAIツールが全社に行き渡りました。そこからさらにAIの進化が進んで、チャットでAIと壁打ちするだけではなく、目的に向かってAIが自走する“エージェント型(Agentic) な使い方へ、という流れがすでに来ている、じゃあ全員がそれをできるようになるべきだよね、のように自然な流れで決まりました。

@shuuk: 課題ベースで言うと、自然体のままだと発生する「業務委託感」をなくすというのはあると思います。エンジニアとその他の職種は自然体だと非対称です。日々Claude CodeでコードをAIに書かせているエンジニアからすると当たり前のことが、その他の職種にとっては当たり前ではないために、どうしても言葉の翻訳コストが発生してしまったり、実際にAIエージェントを作ろうとすると、手を動かせるエンジニアに仕事を頼まないといけなかったりといった構造自体を変えないと、全社規模でスケールしないだろうという課題感はずっと持っていました。

AI Agent Dayを実際やってみて思ったのは、AIって自転車だなってことです。乗り始めた最初は転んでばかりだけど、だんだんと乗れるようになってきて、一度乗れると乗れなかった自分を思い出せないくらい当たり前に乗りこなせる。自転車に乗ったことがある人同士ならサイクリングの話が自然とできるように、まずは全員がAIを乗りこなして、コミュニケーションが対等にできる状態をつくることが大切だと思います。

今はイネーブラーとしてエンジニアが常駐している部門もありますが、今後はエンジニアに頼まなくても「これくらい自分たちでやれます」っていう状態になったら、急にスケールしていくと思いますね。とりあえずAIに頼むと何か動くものをつくれる時代になったので、職種間の情報の非対称性をできるだけなくして、みんなでやりましょう、というのが大事だと思います。

—— なるほど。全員参加が大前提にありつつ、1日限りのハッカソンではなく、事前準備・事後の定着フェーズ含めて各バッチあたり約1ヶ月のプログラムにした狙いは何でしょうか?

@sae: 例えばよくある1dayハッカソンって「楽しかった」で終わってしまうことが多いんです。全社、あるいはカンパニーやディビジョンなど広い範囲で参加者を募集しているのに、意欲ある人だけが何かを得て、とりあえず誘われたから参加した人はなんとなくその技術に触れて終わり、翌日以降はもう触らないっていうのがもう「あるある」で。

1日だけで終わったら意味ないなと思ったのが企画当初の悩みだったのですが、前後2週間ずつ、1ヶ月間の行動変容プロセスと考えたら一気に「あ、これならいけるかもしれない」という確信めいたものが生まれました。事前準備で9割終わっていて、当日は準備したものをもとに、ひたすらディスカッションする中で気づきを得て、気づいたらもう定着しているという流れを理想とした設計です。

加えて、AIを日常的に使っていく上で、相談できる先があるのも大事だと考えています。「チャンピオン」という気軽に聞ける役割を設けたり、7〜10人の小さなグループでピアラーニングサークルをつくったり、メンバー同士気軽に話し合えるシャッフルランチのような感覚で、自然にコミュニケーションが生まれる仕組みも入れています。

問い2:「スキル」とは具体的に何をつくるのか

—— AI Agent Dayで参加者がつくる「スキル」とは、どういうものですか。

@sae: まずスキルというのは「使い回しの効くプロンプト」のような概念です。たとえばブログを書く能力、プレゼンテーション資料をつくる能力、レポートをつくる能力など、AIエージェントがそれぞれの「能力」を持っていて誰でも使いたいときに使えるようにしておくことで、使い回しが効くようになってきます。しかも、自分がつくったスキルを部署のメンバーや会社全体にも共有できることで、再利用の可能性が個人からグループやディビジョンといったより広い単位で広がっていくので、AI-Nativeな会社・組織を目指す文脈とも相性がいいと考えています。

再現性の高さも、AI Agent Dayの中でスキル作成を採用した理由の1つです。作成されたスキルをどんどん磨き込んでいくことで、AIエージェントを「育てる」体験をしてもらいたいと考えています。

@ISSA: AIの段階として、チャットで壁打ちするコパイロットの段階と、ゴールを与えるとAIが自律的に動いてアウトプットを出してくれるエージェントの段階があります。エージェントと共同する段階にいくための手法として「スキル」という概念が主流になってきています。コパイロットから次の段階に全員が進んで欲しい——そのためにスキルを学ぶ、という位置づけです。

@shuuk: 現時点だと、チャット型のAIは使ってきているものの、自律的に実行するAIエージェントにはまだあまり馴染みがないというメンバーも多いと思います。

でも、人間の持っているスキルやワークフローを、まとまっていなくてもいいのでとにかく言語化してAIに教え込ませていくと、AIとの試行錯誤で洗練させていくことができます。

それをスキルとして再利用できるようにすることで、より多くの人がスキルの恩恵を受けられる、その感動体験を全員に味わって欲しいという思いです。

参考ページ:
Skills for Notion Agent-Notion Help Center
Agent Skills

—— 聞いていて、参加者としてもとてもワクワクしてきました。次回は、AI Agent Day設計の裏側についても詳しく聞かせてください!

まとめ:次回は「設計の裏側」の深掘りへ

本記事では、AI Agent Dayの概要と「なぜ全員なのか」「スキルとは具体的に何をつくるのか」の2つの問いについて、企画者3人の言葉で紐解きました。

次回の#1では、実際に企画に携わった3名に企画の着想から実行までの裏側をさらに深掘りしていきます。2026年2月に実施されたAI Task Force箱根合宿で何が起きたのか、そこからわずか1ヶ月で経営陣との合意形成まで完遂させた異例のスピードについて、取材時の写真とともに余すことなくお届けします。

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