メルカリで働くソフトウェアエンジニアに、ちょこっとお話を聞いていく本シリーズ。第40回では、越境販売プロジェクトなどを進めているNew Bizチームのソフトウェアエンジニアである@allan.condaにちょこっとお話を聞きました。@allan.condaは、昨年開催したMercari Hack Weekで「Mercari 2025」を開発し、見事CEO賞を受賞。そのデモ動画はメルカンでのTwitterでも紹介し、多くの方にご覧いただきました。
今回、「Mercari 2025」の開発背景や、フィリピンから来日しエンジニアとして日本の会社で働くことについて、メルカリCTOの@suguruが聞きました。
※本記事は英語インタビューを抄訳したものになります。
なぜ母国のフィリピンから日本のメルカリに?
メルカリ New Bizチーム ソフトウェアエンジニア @allan.conda (左)、メルカリ CTO @suguru
@suguru:さて、真面目な話をする前に、年末年始の休暇は何をしていましたか?
@allan.conda:ありがとうございます。青森で過ごしていました。実は、初めて雪を見ました!
@suguru:おお、そうなんですね。日本で旅行はよくしているんですか?
@allan.conda:はい、旅行や観光は好きで、先日は富士山も見に行きました。魔法のような体験でしたね。嘘のような風景というか、まるでCGのようでした。
@suguru:良いですね〜。では、本題に入りましょう。@allan.condaさんがメルカリに入社したきっかけは何だったのでしょうか?
@allan.conda:母国であるフィリピンで、Androidの開発に携わったことがキャリアのスタートでした。ずっと海外で働きたいと思っていて、シンガポールの会社でも働いたことがあります。ですが、その前から日本で働きたいと考えていました。ホスピタリティで有名な国についてもっと知りたいと思っていましたし、日本のカルチャーに馴染みながら育ってきたというのもあります。
@suguru:なるほど、興味深い類似点ですね。
@allan.conda:メルカリという会社について初めて聞いたとき、タイミングもマッチしているし、このチャンスを手に入れようと決心しました。
Mercari Hack WeekでCEO Awardを受賞した「Mercari 2025」を開発した理由とは
@suguru:メルカリのメンバーの多くが、@allan.condaさんが会社のハッカソンイベントで発表し、CEO Awardを受賞した「Mercari 2025」について聞いたことがあると思います。僕もデモを見たときはとても感銘をうけました。きっと他のメンバーもそうだったと思います。この開発アイデアはどこから来たんですか?
@allan.conda:アイデアのベースは、「スマートフォンのカメラをかざすだけで、メルカリでいくらで売れるか識別できるようにする」ことでした。私は常に最新テクノロジーをキャッチアップするようにしているのですが、そこで、Googleから新しいML KitそしてARCoreがリリースされたことを知りました。そして、これらを創造的に利用する方法を模索していたんです。そして、せっかくやるなら他社が真似できないような何かをつくりたい。「Mercari 2025」プロジェクトでは、Machine Learning(機械学習)、Edge AI、拡張現実(AR)、およびメルカリの写真検索機能、あとデザインシステムを使っています。メルカリのテクノロジーをショーケース的に見せるだけではなく、近い将来メルカリのアプリに実装されてもおかしくない現実的なものにしたいと思い、名前を「Mercari 2025」にしたんです。
CEO Awardの「mercari 2025」のデモ動画です。
スマホのカメラを持ちものにかざすと、メルカリではいくらで売られているか、ARで出してくれる機能です。
Machine Learning、Edge AI、Augmented Reality (AR)、Image Search、(mercari)Design Systemを使って、実装されました。 pic.twitter.com/jcYQ9hApz4— mercan(メルカン) (@mercari_team) October 28, 2019
@suguru:本当にたった5日間で作ったんですか?もっと開発に時間がかかりそうです。
@allan.conda:ハッカソンは、一般的には1日か2日しか開催されません。ハッカソンが始まり開発し始めたころは、時間に余裕があるなと思ったんですが…実際は違いました。プレゼンテーションの直前までバグ修正をしていました(笑)。開発する前から、いろんなメンバーからフィードバックをもらったのですが、ほとんどの人は「すごいクールだけど、期間内に終わなさそう」というものでした。
@suguru:ハッカソン中に直面した最大の技術的な課題は、何だったのでしょうか?
@allan.conda:写真検索機能の実装に手こずりました。写真検索機能は、iOS版メルカリでは利用可能ですが、Android版ではまだ利用できません。まずはじめにAndroid版実装する必要があり、その作業に半分以上の時間を費やしましたね…。写真検索のチームメンバーは、こころよく私の質問に答えてくれました。
@suguru:それでも、ほぼ全部自分でコードを書いたんですね。すごい。次回のMercari Hack Weekで使ってみたい、もしくは、注目している技術はありますか?
@allan.conda:私はずっとARとVRに没頭していて、特にVRへの興味を強く持っていました。研究論文に最初のOculus Riftの開発キットを用いたくらいです。さらにARには多くの可能性があり、(ARは)スマートフォンだけで成立する非常に有用なテクノロジーだと思います。例えば、一部のメッセージングアプリは現在ARフィルターを提供しています。こういったARの事例は「おもちゃみたい」と見過ごされがちですが、私はそうは思いません。ふざけた機能のように見えるかもしれませんが、ユーザーが実際に楽しめる方法で新しいテクノロジーを体験することができる、素晴らしい事例だと思います。Google ARCoreで、いろいろ試したい新機能がありますね。
@suguru:次回のHack Weekでは、Go Boldなアイデアを生かした開発を楽しみにしています。
メルカリがグローバルテックカンパニーになるために、自分なりのやり方で貢献したい
@suguru:最後に、メルカリで働く中で目指すゴールについて聞かせてください。
@allan.conda:メルカリがグローバルテックカンパニーになるために、自分なりのやり方で貢献したいと思っています。私が働くモチベーションのひとつは、自分が大好きで関心を持っている人たち対して、直接影響を及ぼす「何か」をつくることです。日本の友人や家族は、私たちのサービスが大好きで楽しんで使ってくれています。しかし、ホームにいる家族や友人に使ってもらうためには、ビジネスそのものをグローバルに拡げていく必要があります。
@suguru:それは素晴らしいミッションですね。具体的に、どんな貢献できると考えていますか?
@allan.conda:私の専門はAndroidなので、アーキテクチャにとても興味がありますAndroidチームのメンバーとして、アプリのアーキテクチャを進化させ、エンジニアがたのしんで開発できるようになりたいです。自分のチームの活動だと、他のメインストリームのアプリがまだ手を出していないような新しく斬新な機能を提供したいと思っています。僕はそこで、新しい技術を活用しながら、その一手に貢献できればと考えているんです。
@suguru:それはいつごろ達成できると思いますか?
@allan.conda:それは難しい質問ですね(笑)。メルカリは大きな組織になってきたので、何かを変更するにも時間がかかり、それ対して抵抗感を感じる人が出てくるのは当然です。それでも、積極的に手を差し伸べて議論をすることで、変化していけると信じています。
@suguru:完全にその通りですね。話せて良かったです。お時間いただき、ありがとうございました。
@allan.conda:こちらこそ:)