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住所を知られない安心——メルカリの「匿名配送」が生まれた理由と、届けたい未来

2026-4-7

住所を知られない安心——メルカリの「匿名配送」が生まれた理由と、届けたい未来

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「初めてでも参加したくなるマーケットプレイスで、期待を超える売買体験を」このビジョンの根幹を支えるのが、安心して使い続けられる環境づくりです。

前回の記事では不正対策チームによる「排除と救済の両立」について紹介しました。今回スポットを当てるのは、メルカリの安心・安全を象徴する機能のひとつ「匿名配送」です。

出品者と購入者がお互いの住所を知らずに取引できるこの仕組みは、いかにして生まれ、どのようにお客さまの不安を解消してきたのか。現在も配送体験の向上に取り組むプロダクトマネージャーの國分佑太に話を聞きました。

この記事に登場する人

  • 國分佑太(@bnbn)

    プロダクトマネージャー。メルカリ在籍後、FinTechスタートアップを経て再入社。外からメルカリを見た経験を活かし、現在は配送・取引に関わるプロダクトを担当。

「住所を知られる不安」をなくすために生まれた匿名配送

—— 早速ですが、匿名配送はどのような背景から生まれたのでしょうか。

@bnbn: 匿名配送の歴史は長く、私も残された文章や人づてに聞いた話でしか語れない部分もあるのですが…匿名配送が生まれる以前、フリマやオークションサービスを使う場合、取引相手に住所が伝わることが当たり前でした。顔の知らない誰かに住所が知られてしまうことは心地のいいものではないですし、なによりトラブルに繋がる可能性もありますよね。

そのような状況の中、メルカリでは「どうしたら安心して使ってもらえるか」「どうだったら使おうと思ってもらえるか」を突き詰めていった結果、匿名配送という発想に行き着いた、というのが背景だと聞いています。この実現には技術的な理解と、実現したいことを結びつける「説得力」のようなものが必要だったと思いますし、当時は一つひとつ手探りで進めていったそうです。

—— どのようなお客さまが困っていたのでしょうか?

@bnbn: 困っていたのは女性をはじめ、見知らぬ人に自分の住所を知られることに不安を覚える方。住所はプライベートな情報ですし、会ったことがない方に知られることの心理的な負荷は一定ありますよね。でも匿名配送によって、それが一気に解消されたんです。

加えて、匿名配送は不安の解消だけでなく、お客さまの手間を極限まで減らすことを狙っていました。住所入力が不要でQRコードを提示すればいい、配送会社の営業所だけでなくコンビニでも荷物が出せる、など利便性向上にこだわった体験を作り込んでいます。

—— それがお客さま数の伸長にも影響したと感じていますか?

@bnbn: そう思います。こういう機能があるから、メルカリのお客さま数が伸びてきたという実感があります。「安心して使える」という確信がなければ、そもそも出品しようとも思えない。安心・安全はお客さま体験の根幹で、匿名配送はその象徴的な機能の一つだと思いますね。

—— @bnbnはメルカリに一度在籍した後、物流領域のスタートアップを経て再入社されたと聞いています。”外からメルカリを見た”経験を持つ立場として、安心・安全に対するスタンスの変化を感じることはありますか?

@bnbn:安心・安全の重要度を意識するスタンスは、明確に変わったと思います。もちろん前から意識していたからこそ「匿名配送」のようなアイデアが出てくる土壌が築かれていたのだと思いますが、その熱量が高まった、優先度が確実に上がったと感じます。

その背景は、お客さま数が拡大したこと。2300万を超えるお客さまに使って頂いていると、その使い方も様々。フリマアプリという性質上、想像していなかったようなトラブルも起きうるので、より能動的に、迅速に向き合っていく姿勢が強まっていると感じますね。

“フリマアプリ”を超えた存在として、お客さまと向き合う

—— お客さまとの距離感という点でも、変化を感じることはありますか?

@bnbn: お客さまはメルカリに対して「当たり前品質」の担保を、より求めるようになってきたと思います。商品に問題があれば、メルカリに連絡して解決を促す。プラットフォームとして果たすべき責任がどんどん大きくなってきていると感じます。

また、プラットフォームとしてどうルールを設け、どうプロダクトを変えるかという、解決策の選定は多角的に検証する必要があります。そのため、私は広くお客さまの声を聞くのと同時に、積極的にお客さまインタビューを行いながら、深く聞くことも大事にしています。

—— お客さまインタビューを通じて、驚いた発見はありましたか?

@bnbn:発見ばかりです。新たな配送のかたちを考えるため、お客さまインタビューに参加してくださったお客さまに「200円の追加料金で2-3日早く届く『お急ぎ便』があったらどうか」と問いかけたところ、8人中7人が「別に必要ない」と回答されて。個人的には「欲しいものを買ったらすぐ欲しい」「急いで届けてほしい」というニーズが大多数だと思っていたけど、そうじゃなかったんです。

さらにお客さまへ質問を重ねていくと、「メルカリでは趣味のものを買うからすぐに届かなくても問題ない」「すぐに届けてほしい商品は他のECで買う」など、確かにな…と感じるご意見を聞けました。思い込みでプロダクトを作ってはいけない。お客さまの言葉に耳を傾けることの大切さを改めて感じましたね。

今回は売り手の方にインタビューしたのですが、「買い手の方に良い買い物をしたと思って欲しい」と仰る方が多く、こういう方達にもっと愛していただけるサービスを作らなくてはなと思いました。

「わからない」を減らすことが、次の安心・安全につながる

—— では現在、特に注力していることを教えてください。

@bnbn:今はとにかく「わからない」と思われる体験を減らすことですね。初めてメルカリで出品する人にとって、出品の手順って「面倒だ」と感じさせてはいけないと思っているんです。

出品に慣れている人は気づかないけど、初めての人にはわかりにくいことがまだたくさんある。何をどう書けばいいか、どのくらいの値段をつければいいか、発送はどうするか。一つひとつの「わからない」が積み重なって、参加の壁になる。

セキュリティや不正対策も大事ですが、「よくわからないから不安」という気持ちを取り除くことも、広い意味での”安心・安全”だと思っています。わかりにくいことをどれだけ減らせるか。それはクリアな課題として常に意識しています。

—— 最後に、これからメルカリの配送体験をどうしていきたいか教えてください。

@bnbn: 配送体験の向上に、これからもっと力を入れていきたいと思っています。

「配送」というと商品が発送されてから到着するまでをイメージしがちですが、それは体験の一部。売り手のお客さまからすれば、QRコードを発行して、コンビニで荷物を出すところからもうお客さまの配送体験は始まっているんですよね。そこまで含めて考えると、改善できる余地がまだたくさんある。

出品してから、荷物が相手に届くまでの一連の体験が、もっとスムーズで、もっと安心できるものになるように。それが結果として、より多くの人がメルカリを使い続けてくれることにつながると信じています。

この記事に関連するQ&A

匿名配送が生まれたきっかけは何ですか?
従来のC2Cサービスでは、取引相手に住所が知られることが前提でした。トラブル時には住所を調べられてしまうリスクもあった中、「どうしたら安心して使ってもらえるか」を突き詰めたメルカリが、その問いへの答えとして生み出したのが匿名配送です。

匿名配送は、どんな不安を解消してくれますか?
「住所を知られたくない」という気持ちの裏には、プライバシーへの不安、トラブル時の二次被害への恐れ、見知らぬ人に個人情報を渡すことへの心理的抵抗など、いくつもの不安が重なっています。匿名配送はそれらを一度に解消しています。

メルカリはどのようにお客さまの声をプロダクトに活かしているのですか?
担当PMが自らお客さまインタビューを実施し、思い込みを排した一次情報をもとにプロダクトを設計しています。「8人中7人が急ぎ配送を求めていなかった」という発見もその一例。数字ではなく、お客さまの実態から逆算することを大切にしています。

写真:タケシタ トモヒロ

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