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「Employee Experience」の最大化のために、Digital Center of Excellence チームは全体最適思考で仕組みを高度化する

2024-4-30

「Employee Experience」の最大化のために、Digital Center of Excellence チームは全体最適思考で仕組みを高度化する

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メルカリの長期的な成長を支えるために必要なことはなにか?

いくつも不可欠なピースがありますが、間違いなく重要なのはITサービス基盤と運用の高度化です。グローバルプレイヤーを目指すテック企業として、新しいエンタープライズアーキテクチャへのシフトが不可欠です。そうした背景について、少し前にメルカンでは、CIOの進谷浩明とCISOの市原尚久の対談を掲載しました。

そこで語られたのは、Corporate Engineering チームのミッションと今後3年間のロードマップです。Corporate Engineering チームの新たなミッション「技術力と実現力でメルカリの可能性を広げる」のもと、「ITサービス基盤と運用」「アプリケーション基盤とコーポレートシステム」「組織と組織運営」の3つの領域で高度化を推進してきます。

では、具体的にどのように高度化を進めていくのか、そしてどんな思いを持って取り組んでいるのか、Digital Center of Excellence チームのマネジャーである、田中博之(@hiro)にここ数年の手応えやこれからの展望を聞きました。

この記事に登場する人


  • 田中博之(Hiroyuki Tanaka)

    Digital Center of Excellence / Sr.Manager。2008年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、ソフトバンク〜ソフトバンクロボティクス〜KPMGコンサルティング〜アマゾンウェブサービスジャパンを経て現職。現在は、メルカリグループのコーポレート業務全般のデジタル戦略の立案やシステムロードマップの策定を行いながら、プロジェクトのリード、マネジメントを担う。

メンバーのパフォーマンスを最大化するために

——まずは、Digital Center of Excellence チームの役割から聞いていきたいと思います。

Digital Center of Excellence チームは、Corporate Engineering チームにおいてコーポレート部門とエンジニアリング部門を組織横断でプロジェクトを推進していく役割を担っています。

業務プロセスの改革や最新のITツールの導入をはじめ、標準化マニュアルやガイドラインの策定など、社内外の関係者とコミュニケーションをしながら、情報の収集・整理を行い、問題解決へと導いていくことが求められています。

そのため、超上流工程からシステム開発をして、リリースするまでの工程の幅広い領域をカバーしているため、業務コンサルタント、ITコンサルタントからコーポレートエンジニアまで様々なバックグラウンドをもったメンバーが所属しています。

——では、目下の課題となっていることは?

これまでは事業優先のベストエフォートで業務を回してきましたが、より高度な業務体制の構築や分析が求められていくようになりました。そのときに、まだまだIT基盤が脆弱だったためにしっかり構築していくために業務変革とシステム変更が必須でした。

このIT基盤を強固にしていくためには、全体最適思考で業務やシステムをEnd to Endでつくっていくべきだと考えています。例えば、リーガルから法務チェックのプロセスを改善したいという要望があったとして、それ自体はあくまできっかけだと考えています。やっぱり改善が求められるときには前後関係を見ていく必要があります。例えば、法務確認が終わった後に、別の契約の稟議のプロセスがあるとか、その法務確認はリスクチェックの文書だとか、そういうようなサイロ化しやすいワークフローをウォーターフォール型につくるのではなく、前後関係をしっかりヒアリングしながらデザインしてくことが重要です。そのためには仮説を立てて 一つずつ検証していくことが必要でした。

また、メルカリでは2021年に「YOUR CHOICE」を導入したことにより、メンバーのワークスタイルの選択肢が増えたと思います。その中で、我々はDXを推進するチームとして、メンバーの働く環境を整えたり、メンバー同士のエンゲージメント向上をさせる「Employee Experience(従業員体験)」の最大化を目指した、仕組みづくりやプラットフォームの提供をしていく必要があると考えています。

田中博之(@hiro)

——ここで言う、DXとはどんなことを指しているのでしょうか?

メルカリのフリマアプリは、お客さま体験の最大限を目指してアプリ開発をしていると思いますが、私たちのチームはそれと同様にメンバーの「Employee Experience」の最大化を目指して、社内業務のデジタルワークフロー化やAIの利活用に取り組んでいます。

2021年の終わりぐらいから、ワークフローの自動化を少しずつ進めてきた中でプロセスの可視化が進み、短期だけでなく中長期での施策が生まれ、継続的な改善や先端技術の活用の可能性も見えてきました。メンバーがパフォーマンスを最大化するために何が必要かを考え、自動化や先端技術との連携の強化に日々取り組んでいます。

End to Endのシステム自動化を追求し、「Human Centric」な状態をつくる

——自動化や先端技術との連携の強化について、具体的な取り組みを教えてください。

これまでは部署ごとにサイロにシステムをつくってきたので、メルカリのメンバーがその仕組みに引っ張られてしまっていたことは否めません。なので、メンバーが真ん中にいて、その周りにシステムがある「Human Centric(ヒューマンセントリック)」な状態にしていきたいと考えています。そのために、システムのEnd to Endの自動化を追求していく必要があります。部分部分を自動化しても、結局なにかしらの手作業が残ってしまうからです。

直近だと、ServiceNowを利用したデジタルワークフローの構築が具体的な取り組みです。契約手続きに関する申請承認プロセスは、私が入社した時点(2021年)でも2,000人規模を超える会社になっていたので、必要なベースとなる機能は提供されてはいました。しかしながら、「ポータル」「申請」「問い合わせ」といった機能は存在しつつも、それぞれが断片的に導入されていたこため、システムが連携されていないことが原因による煩雑さや非効率さが残っていたため、メンバーのエンゲージメントや生産性の向上の妨げになっているという課題を抱えていました。

契約に関連する社内のさまざまなチーム(リーガル、ガバナンス、セキュリティ、リスク、コンプライアンスなど)と協力しながら、現行の業務プロセスを可視化し、課題の洗い出し、整理を行いました。

分断されていた各プロセスを連携すべく、ServiceNowのデジタルワークフローを使って、業務プロセスの再構築とシステム連携を行いました。電子捺印のシステムとの連携や、最近ではインボイス制度の導入に伴う「法人登録番号」の照会についても国税庁とのAPIを連携してシームレスな自動化を実現しています。

ServiceNowを利用したデジタルワークフローの構築

ServiceNow主催イベント「 World Forum: Tokyo 2023」にも登壇

今後も、メンバーの生産性を向上させるために、End to Endでのデジタルワークフローの構築を継続的な改善を続けています。

全体最適思考で提案から実現までのシナリオを描き、実行をリードをしていく

——では、Digital Center of Excellence チームで働くことの醍醐味を教えてください。

新しいテクノロジーを持ってして、「実現力」つまり業務の生産性向上させるための仕組みづくりを体験できることですね。この規模感の企業でこれだけシステムに投資しているところもそうないと思います。

ただ、「新しいシステムに取り組みたい」というだけでは、Digital Center of Excellence チームで働いていくことは難しいと思います。私たちは、メンバー一人ひとりのエンゲージメントを高めるために、業務の効率化や一元化されたプラットフォームの構築を推進・実現をしていくチームです。そのために、複数の業務部門のステークホルダー、特に社内のコーポレート部門(人事、財務、リーガル、ガバナンス、リスク)と協議しながら、常に全体最適思考でメンバーの最良のエクスペリエンスを追求し、ソリューション提案から実現までのシナリオを描き、実行をリードをしていくことが求められるからです。

それはつまり、メンバーの効率化・生産性の向上に貢献することであり、ビジネスの成功につながる仕組みづくりに参画できると言えます。

——なるほど。メンバーの生産性向上への貢献がすなわち、事業への貢献につながるというわけですね。では、そこで必要になるマインドセットはどのように考えますか?

チーム内外のメンバーとの活発なコミュニケーションや意見交換を行いながら、ものごとを大局的に捉え、課題の重要度や緊急度を整理する力ですね。また、最新のテクノロジーに対して、自ら調査や情報収集を行い、生産性や業務効率を高めていくためのエンタープライズITの世界を描いていく力も必要です。

非常に領域が広い仕事なので、チームメンバーのお互いの強みを生かし、弱いところは補い合いながらチームで仕事をすることができる環境です。メルカリグループのメンバーの効率化や生産性の向上に貢献したいという強い思いを持ったメンバーが多いので、新しいワークスタイルへの変革や創造に興味のある方にとっても良いキャリアが積めるのではないかと思います。

——最後に、hiroさん個人として取り組んでいきたいことや野望などをうかがいたいです。

そうですね…これまで多くの業務変革プロジェクトをマネジメントしてきた中で、新たな仕組みや機能がメンバーに受け入れられ、感謝の声をもらうことに非常にやりがいを感じてきました。

私自身、ソフトバンクグループで12年のキャリアを積み、モバイル事業の顧客管理システムの開発や、ロボット事業のクラウドシステムの企画・開発をリードしていました。その後、KPMGコンサルティングやアマゾンウェブサービスジャパンで、ビジネスとITの両側の視点から問題発見・問題解決に取り組むDXコンサルタントとして、ITとビジネスのどちらにもDive Deepしながら、業務デザイン、システム構築のプロジェクトマネジメントに取り組んできました。そうした経験を積み、ロードマップ策定のスキル向上やデジタルテクノロジーのトレンドや変化を感じ取っていくなかで、これまでの知識や経験をExecuteする現場でメンバーや組織、ビジネスに貢献していくのが面白そうだなと思ったのがメルカリ入社のきっかけです。その判断は間違っていなかったと思います。

個人的には社内業務とITのエンバジェリストのような存在になりたいと考えています。メルカリのなかで一番システムに精通していて、それがどう使われているかを把握したうえで、より良い使い方の提案やつまづきの解消をコンサルティングしていく。IT屋さんでありビジネス屋さんである、そのどちらも尖らせていきたいですね。

現状把握をして、変革を起こし、それがいつの間にか定着化していくことで、メンバーは、「働きやすさ」や「働きがい」を実感すると思いますし、我々もそれを糧にさらなる変革へとチャレンジしていこうと考えています!

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