
2025年6月11日から、社内へ向けたラジオ形式トークセッション「リーダーズと語る!AI/LLM舞台裏 Open Door」がスタート。第4回のゲストは、Customer Service(CS)を担当する宮坂 洋平(@yohei)です。
今、カスタマーサービスの現場では今、AI/LLMによる根本的な変革が始まろうとしています。単なるコスト削減や効率化を超えて、お客さまの体験そのものを再設計する挑戦。その最前線で何が起きているのか、どんな未来を目指しているのかを深堀りました。モデレーターは前回に引き続きAI/LLM室のハヤカワ五味(@gomichan)が務めます。
*この記事は当日の音声をもとにAIツールで構成、執筆を行っています
この記事に登場する人
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宮坂 洋平(Yohei Miyasaka)
SCSKサービスウェアでキャリアをスタートし、グリー、Kaizen Platform、OneteamでCSマネジメントに従事。2017年にAmazon Japan合同会社へ入社し、CS Program Managerとして複数のサービス立ち上げを担当後、Amazon Business Customer Success マネージャとして戦略立案に従事。2021年にメルカリに入社し、CS戦略マネージャを経て、現在はDirector of CS/TnS Operationとして、Operation全体の戦略と運営をリード。
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ハヤカワ五味 (Gomi Hayakawa)
2015年頭に株式会社ウツワを創業後、ランジェリーブランド『feast』、フェムテック事業『ILLUMINATE』など、多数の事業を展開。2022年3月にはユーグレナグループに参画し、はたらく女性向けの新規事業開発に取り組む。24年4月に退職後、2024年7月にメルカリにジョイン。生成AIの利活用に関してSNSでも積極的に発信している。
CSのリアルと、変わらない顧客体験
@gomichan: 本日のゲストは、Customer Service(以下、CS)を担当されている@yoheiさんです。よろしくお願いします!
@yohei: よろしくお願いします。
@gomichan: CSのどのような部分をご担当されているのですか?
@yohei: Marketplace、FinTech、ひいてはグループ全体のCSのオペレーション全般を横断的に見ています。
@gomichan:今日お聞きになっている皆さん(メルカリのメンバー)のことも、きっと裏で支えているというわけですね。CS関連のAI技術やツールの変遷について、どのように感じていますか?
@yohei:生成AIに初めて触れたのは、2、3年前のことです。それからグローバルCSの事例も定期的にチェックしていましたが、一番思ったのは「ようやくこういうのが出てきたな」という感覚でした。これまでのCS技術は内部業務の効率化がメインで、お客さまの体験を変えるところには踏み込めていませんでした。
@gomichan:効率化やコスト削減がメインで、顧客体験は変わっていないということでしょうか。
@yohei:変わっていないと思いますね。自分が他のサービスで問い合わせをする時も、結局FAQを探して、解決できなかったら電話・メール・チャットなどで回答を待つというこの体験は、多分20〜30年変わっていないと思っています。
CSの理想像は、問い合わせが「生まれない」状態
@gomichan:逆に、CSにとってベストな状態とはどういう状態なのでしょうか?
@yohei:理想的な状態は、そもそも問い合わせが発生しない状態だと思っています。お問い合わせをするという時点で、ある意味お客さまにストレスを与えているわけですから。
@gomichan:問い合わせの場所が分かりにくいとか、そういうことではなく、そもそもお客さまが困らない状態ということですよね。
@yohei:そうです。問い合わせの数を減らしたいという企業側の都合で問い合わせの導線を分かりづらくするのは本質ではありません。サービスが良くなって、かつ問い合わせがしやすい状態の上で、お問い合わせがなくなっていくのが本質だと思っています。
@gomichan:昨年、SNSで厳しいご意見をいただいた際、CS部門ではどう受け止めていましたか?
@yohei:実際のオペレーションを担当しているメンバーは、課題を痛感していました。ただ、抜本的な改善策は打てていなかったのが正直なところです。それがたまたまあのタイミングで顕在化したという認識でいます。
@gomichan:実際、どういう課題感を認識されていましたか?
@yohei:端的にいうと、オペレーションそのものが複雑になりすぎているということです。サービスの成長に伴い、お客さまからの問い合わせ件数は年々増加しています。これにより、サービスレベルを維持するためには、これまで以上に迅速な返信が求められるようになりました。
一方で、サービス群の多様化や、長年にわたるオペレーション改善の積み重ねによって、お客さま対応は以前よりも複雑になっています。その結果、対応者に求められるスキルの難易度も高まり、1件あたりの対応に必要なやりとり(ラリー)や、解決までにかかる時間=SL*が増える傾向が見られます。
*Service Levelの略称。サービスの基準を可視化する指標の一つ
@gomichan:現場で見させていただきましたが、時間の制約も結構タイトですよね。
@yohei:ごく限られた時間での対応が求められています。
@gomichan:例えばお客さまとのやり取りのチャット内容も、商品の写真も、問い合わせ内容自体も、それを全部見て限られた時間で返さなきゃいけないのが現状ですよね。
@yohei:そうですね。お客さまにメルカリを気持ちよくお使いいただけることが最優先事項なので、関わっている人間全員がお客さまの問題を解決したいと思っています。膨大な数の問い合わせに対して早くレスポンスすることも顧客体験にとっては大切なので、複雑なオペレーションとスピード感をどのように両立させるのか、バランスが難しいなと日々感じています。
自動化の本質は「お客さまへの価値転換」
@gomichan:CSの領域は、業界的にコストカットしていく向きも強いと思うのですが、メルカリとしてはどのように変わっていくのでしょうか。
@yohei:私たちも例に漏れず、メルカリにおいてもコスト削減のアプローチが強かったというのは事実だと思います。ただ、コスト削減と言うと、コストの絶対額を減らすという考え方が思い浮かぶと思うんですが、「1取引あたりのCSコスト」で見ています。取引数が+30%の時に、CSコストが+20%の場合、コスト観点では成功と言えます。クオリティを向上させながら、この数字が小さくなっていくのが理想的ですね。
繰り返しにはなりますが、何よりもまずお問い合わせをせずとも、快適にサービスを利用いただけることが、最も大事なことです。そのためにはプロダクトが磨かれていく必要があるので、プロダクトチームともかなり密に連携しています。
@gomichan:CSから上がってくる課題をプロダクトに反映してお客さまの困り事をなくしつつ、一方で実際に来ている問い合わせはAIの自動化によって即座にレスポンスしていく。両面でよりコンパクトにしていくということですね。
@yohei:その通りです。自動化というところも、これもすごくニュアンスを気をつけなければいけないことだと思っています。自動化というと、自分たちのやっている作業を自動化してコストを削減するというイメージがありますが、AI技術の本質はそこではないと思うんですよ。
@gomichan:どういうことですか?
@yohei: お客さまにどうやって価値を転換できるかと考えるべきです。単にコストカットやオペレーションのことだけに終始せずに、AIの導入がどのような体験を生むことができるかに集中すべき、ということですね。
お客さまにお困りごとが発生した際に、CSに最も期待することは「早く問題を解決すること」です。
AIによって、24時間、お客さまご自身の言語で問い合わせができて、すぐに問題が解決する体験です。従来CSとしての障壁になることが多かった「時間」と「多言語」の制約を超えることが、私たちが目指すべき最もクリティカルなお客さま価値だと思います。
「5分での課題解決」を目指して
@gomichan:改めてCSが今後目指していくところを確認したいのですが、印象的なのが、「すべてのお困り事を5分で解決する」というビジョンでした。このあたりの考えをお伺いしてもいいですか?
@yohei:一番分かりやすいのは、まず「何のために自分たちがいるのか」というミッションです。お問い合わせを減らすことも含めて、「手間がかからないお客さま体験」を追求していく、ということです。そして、そこからの延長線上で「5分以内で解決する」というのがあります。
@gomichan:問い合わせは、正直したくないですもんね。
@yohei:したくないですよね。24時間以内の返信率は95%と、なるべく迅速に回答できるように努めていますが、根本解決まではまだ50時間かかることもある。今は根本解決まで相当な時間がかかっているし、特に当事者同士のやりとりだと、さらに時間を要することもあります。
待っている間のストレスというのも、総合的に見たらお客さまにとっての手間だと捉えているんですよね。すでに発生した問い合わせに対して、いかに早く解決できるのかを常に模索しています。
@gomichan:CS関連って、新しい技術で仕事が代替されるんじゃないかという不安感があると思いますが、人と技術の分担についてはどうお考えですか?
@yohei:技術ですべて置き換えることは現実的ではありません。複雑な問題や感情的なケースでは、やはり人の介入が必要です。メルカリCSの特徴はお客さまが2人いるということです。個人間取引でトラブルが起きた時、それぞれに主張や言い分があるんですよね。そういった複雑なケースでは、お互いが一定納得するような解決法を出すことが重要で、これは人でないと難しい領域だと思っています。
@gomichan:これからCSはどう変わっていきますか?
@yohei:CSはコストセンターではなく、お客さまのLTV(一人のお客さまが取引を開始してから終了するまでの間に、企業にもたらす利益の総額を表す指標)を上げていく攻めの部署だと思っています。
トラブルがあった時、問い合わせをせずに離脱する方も多い。私は全員を救いたいんです。
@gomichan:今後の成功指標はどのように考えていますか?
@yohei:最終的に問い合わせがゼロになったら成功ですね。お客さまが問合せせずとも快適に利用できるサービスの実現に向けて、試行錯誤していくだけです。
@gomichan:最後に、今後のメッセージをお願いします。
@yohei:羅針盤は明確なので、前向きな思考と好奇心を持って、どんどんやっていくだけです。お客さまが、メルカリを安心して楽しくお使いいただける環境を作っていきたいと思います。
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