メルカリが掲げる「AI-Native」の実現に向けて、すでにほとんどのメンバーがAIを日常業務に取り入れはじめています。
しかしながら、メルカリが真に目指したい「AI-Native」はどのような状態・人を指すのか、理解しづらい、という方もいるのではないでしょうか?
そこで、メルカリの「AI-Nativeな人」は一体どのようにAIを活用しているのかを解き明かすべく、内定者でAIタスクフォース運営にも携わる @Yurino のインタビュー企画『Yurinoの「先輩、ちょっといいですか?」』が立ち上がりました!
第3回にお話を伺ったのは、BizDevチームの @yukita。
メーカーにて、データサイエンスの経験を積んだ後、データアナリストとしてメルカリグループに入社し、現在は物流関連の事業開発を担当しています。
元データアナリストとしての「引き出し」を武器に、契約書の解析からモックの作成まで幅広くAIを活用するyukitaが考える、AI時代に本当に必要なスタンスとは?プロジェクトと共にAIを育てる、BizDevならではの活用術に迫ります。
この記事に登場する人
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田中佑樹(@yukita)
メーカーにて、物流領域のデータサイエンス・システム開発に従事。その後、メルロジ設立時にデータアナリストとして入社。現在はBizDevチームのマネージャーとして、配送サービスの開発などを担当。
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堀内ゆり乃(@Yurino)
上智大学外国語学部英語学科4年。2026年度新卒としてメルカリに入社予定のインターン生。 2024年10月に新卒採用チームでインターンとして入社後、現在はAI/LLM OfficeにてAIタスクフォースの運営に関わる。趣味はドラム演奏。
プロジェクトごとにAIを「育てる」──コンテキストを活かした壁打ち術
@Yurino: yukitaさんは普段、どのようにAIを活用されていますか?
@yukita: 業務では主にCursorを使っています。案件ごとにリポジトリを作って、その中で調査資料やAIとの壁打ち結果、分析用のデータや提案書の叩きなどを格納して進めています。BizDevの仕事は市場調査、データ分析、商談、現場オペレーションの設計、契約書の作成、お問い合わせ対応の策定、LPの制作…と多岐に渡るし、1つのプロジェクトを数ヶ月単位で動かしていくので、コンテキストの「蓄積」がすごく大事なんですよね。Cursorには複数のプロジェクトを一緒に進めてもらっています。
@Yurino: プロジェクトを一緒に走るパートナーになっているんですね。情報が積み上がっていくからこそ、調査からアイデア出しまで一貫して壁打ちできるのが、BizDevの仕事とすごく相性がいいなと感じました!

元データアナリストとしての引き出しが活きる
@Yurino: BizDevの業務におけるCursorの活用方法についてもっと詳しく教えてください!
@yukita: 例えば契約書って、10年前に締結した基本契約に覚書がどんどん注ぎ足されて、人間でも解釈が難しい状態になっていたりします。そこで過去の契約書を全てCursorに渡して、「WordファイルになってるけどAIが読みやすい形式に変換して」「この覚書で何が変わったか整理して」「これまでの書きぶりを意識しつつ、こういう内容の覚書を作成して」などと指示すると、必要に応じてPythonスクリプトを書いて実行することも含めて全てやってくれます。データ分析も同様で、入手したデータを分析しやすい形式に変換するところから、実際に分析してレポートを作成するところまでやってくれます。
@Yurino: 元データアナリストの経験が生きていますね。
@yukita: そうですね。データアナリストの経験から、「この作業はPythonでなんとかできそうだな」という感覚があったりします。ただ、1度しか実施しないその作業のためだけにPythonを書くのは割に合わなかったんです。でもCursorなら指示するだけでやってくれるので、今まで諦めていたことが気軽にできるようになりました。大事なのは「こういう時にこういう手法が使えるらしい」という「引き出し」を持っておくこと。存在さえ知っていれば、それをやってとAIにお願いできます。AIの出力の良し悪しを判断できる必要がある点に注意ですけどね。
プロが腕を発揮するための「0→80」をAIで
@Yurino: チームでインパクトがあった活用例はありますか?
@yukita: 検討しているサービスのモックを「Figma Make」(デザインツールのAI機能)でクイックに作成することですね。「こういうアプリを作りたい」と指示すると、画面遷移まで含めてちゃんとしたデザインのモックがすぐに作れます。具体的なデザインがあった方がチームでの認識も揃いやすいし、何が論点なのかも見えてきたりします。お客さまに「こんなサービスがあったらどうですか」とインタビューするにあたっても、なるべく実物に近いものをお見せしたほうが良いインタビューになりますね。
例えば、Figma Makeで作成したデザインの例はこんな感じです。(※ 実際に検討しているサービスではなく、記事用のサンプル)

@Yurino: AIでここまでできるようになると、「特定の職種の仕事がAIに奪われるのでは」という声もありますが、yukitaさんはどう思いますか?
@yukita: 奪われるというより、役割が変わるんだと思っています。確かにAIで80点ぐらいまでは作れるかもしれない。でも、プロの仕事って80点を100点に仕上げるところにあるじゃないですか。最高のものを作るために突き詰めたり、「この内容でいく」と腹を括るのは人間がやることなので、「プロをなめちゃいけませんよ」って個人的には思ってます(笑)。 例えばLPを作る時も法務レビューを依頼する時も、まずAIで叩き台を作ってからプロに相談しています。今までは0から80まで作るのもプロに頼んでいたけど、そこは私がAIでやって、プロには80点から100点に磨き上げる部分に集中してもらう。そうするとプロは本来の専門性を発揮できるし、こちらもプロジェクトを早く前に進められる。お互いにとって良い形ですよね。
@Yurino: AIを使って今後チャレンジしてみたいことはありますか?
@yukita: 目先の話で言うと、コンテキストを理解しているCursorのリポジトリなどが、自分の手元でだけ育ってる状態ではなく、チームやプロジェクトメンバーに共有できる形にしたいですね。もう少し中長期的な話だと、BizDevの生産性を100倍にするようにAIエージェントをどんどん作っていく、それも人間が指示を出して動き始めるのではなく、AIが起点となって回る仕組みにすることですづくりにチャレンジしたいです。理想を言えば、プロジェクトのコンテキストをリアルタイムに把握しているAIに「今の会議で挙がった論点を解消するために、この調査とあの人への相談が必要だね。Deep Researchの実行とSlackでの連絡をしちゃっていい?」のように提案されたいですね。
@Yurino: AIに思考の伴走者になってもらうイメージですね。最後に、AI活用についてメッセージをお願いします。
@yukita: 1つ目は「とにかく触ってみましょう」。メルカリではChatGPTやGeminiをはじめ、n8n、Cursor、Claude Codeなど色んなツールが使えるし、なるべく申請を楽に、かつ安全に使えるようにガバナンスチームのYukaさん達が整えてくれています。他社の友人と話していてもメルカリほどの環境はなかなかないので、「せっかくだから使い倒そう」ぐらいの気持ちで楽しく使ってほしいですね。
2つ目は「AIでやりたいことが見つからなければ、引き出しを増やすところからやってみましょう」。自分の職種以外の本も読んだりしながら「やったことないけど、こういうことができるといいらしい」という引き出しを増やしていくと、その中から「これAIでやってみよう!」というものが見つかるかもしれません。普段の業務の効率化だけでなく「今までできなかったことができるようになった」に繋がるので、楽しさを感じられると思います。
@Yurino: 自分自身の「引き出し」を増やした先に、「今までできなかったことができるようになった」という成功体験が待っているんですね。その実感こそが、AI活用の本当の価値だと感じました。yukitaさんの姿勢、私も見習いたいと思います。今日は貴重なお話をありがとうございました!


